睡眠不足
睡眠不足と仕事のパフォーマンス
―「少しの寝不足」が集中力と判断力を低下させる―
「しっかり寝たつもりなのに、午後になると集中できない」「忙しくて睡眠時間を削っている」――そんな経験はありませんか。
仕事が忙しいと、睡眠時間を削って対応しようとすることがあります。しかし、睡眠不足は単なる眠気の問題ではありません。集中力や判断力、記憶力など、仕事に必要な脳の働きにも影響します。
実は、本人が気づかないうちに仕事のパフォーマンスが低下していることもあるのです。
6時間睡眠でも、脳の働きは低下する?
睡眠不足が脳の働きに与える影響について、興味深い研究があります。
2003年に発表された研究では、健康な成人を対象に、睡眠時間を1日4時間、6時間、8時間に分け、14日間にわたって注意力などの変化を調べました。
その結果、4時間睡眠だけでなく、6時間睡眠を続けたグループでも、日を追うごとに認知機能の低下が認められました。
さらに重要なのは、睡眠不足が続いても、本人が感じる眠気は必ずしも強くならなかったことです。
つまり、「眠くないから大丈夫」「6時間寝ているから問題ない」と思っていても、実際には集中力や判断力が低下している可能性があります。
ただし、必要な睡眠時間には個人差があり、6時間睡眠がすべての人にとって不足しているわけではありません。
睡眠不足は企業の生産性にも影響する
睡眠不足によって注意力や判断力が低下すると、仕事のミスが増えたり、作業効率が落ちたりする可能性があります。
特に、運転業務や機械操作、医療など、高い注意力が求められる仕事では、重大な事故につながる危険性もあります。
また、出勤していても心身の不調によって本来の能力を十分に発揮できない状態を「プレゼンティーズム」と呼びます。
睡眠不足は、その原因の一つです。
社員が長時間働いていても、睡眠不足によって集中力や作業効率が低下していれば、必ずしも企業全体の生産性向上にはつながりません。
どのくらい眠ればよいのでしょうか?
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について、個人差を踏まえながら6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。
ただし、大切なのは睡眠時間だけではありません。
朝起きたときに疲れが取れているか、日中に強い眠気がないかなど、睡眠によって十分な休養が得られているかも重要です。
睡眠の質を高めるためには、起床時刻をできるだけ一定にすること、日中に適度な運動を取り入れること、就寝前のカフェインや飲酒を控えることなどが役立ちます。
十分な睡眠時間を確保しても疲労感や強い眠気が続く場合には、睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れていることもあるため、医療機関への相談が必要です。
睡眠を大切にすることは、企業の健康経営にもつながる
睡眠不足は、個人の生活習慣だけでなく、長時間労働や不規則な勤務、業務量など、職場環境とも深く関係しています。
企業としても、長時間労働の是正や適切な休憩時間の確保、勤務間インターバルの導入など、社員が十分な睡眠を取れる環境を整えることが大切です。
また、産業医面談では、睡眠時間や疲労の蓄積、日中の眠気などを確認し、必要に応じて働き方の見直しや医療機関への受診につなげることができます。
睡眠は、単なる休息ではなく、健康と仕事のパフォーマンスを支える大切な時間です。
社員一人ひとりが十分に能力を発揮できる職場づくりのために、まずは日々の睡眠を見直してみてはいかがでしょうか。