脳卒中


働き盛りの世代こそ注意したい脳卒中

― 40代・50代から始める脳卒中予防 ―

「脳卒中は高齢者がなる病気」

そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

確かに脳卒中は年齢とともに発症するリスクが高くなります。しかし、40代や50代の働き盛りの世代でも発症することがあり、決して高齢者だけの病気ではありません。

脳卒中は、突然発症して命に関わるだけでなく、麻痺や言語障害などの後遺症によって、それまでと同じように働くことが難しくなる場合もあります。

一方で、脳卒中の危険因子の多くは、日頃の健康管理によって改善することができます。

脳卒中とはどのような病気?

脳卒中は、脳の血管に異常が生じることで、脳の働きが障害される病気の総称です。

代表的なものには、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れて出血する「脳出血」、脳の表面に出血が広がる「くも膜下出血」があります。

いずれも突然発症することが多く、迅速な治療が必要になります。

特に脳梗塞では、血管が詰まって脳に血液が届かなくなると、時間の経過とともに脳の組織が障害されていきます。そのため、できるだけ早く治療を開始することが重要です。

脳卒中は、発症したときの治療だけでなく、発症そのものを予防することが大切な病気なのです。

働き盛りの世代に潜む脳卒中のリスク

40代や50代になると、健康診断で血圧や血糖値、コレステロール値の異常を指摘される方が増えてきます。

しかし、仕事や家庭が忙しく、「特に症状がないから大丈夫」「時間ができたら病院に行こう」と、受診を先延ばしにしてしまうことも少なくありません。

ここで注意したいのは、脳卒中の危険因子となる生活習慣病の多くは、自覚症状がほとんどないということです。

高血圧、糖尿病、脂質異常症などは、気づかないうちに血管に負担をかけ、動脈硬化を進行させることがあります。

その結果、ある日突然、脳梗塞や脳出血を発症することがあるのです。

脳卒中予防で最も重要なのは「血圧管理」

脳卒中の危険因子の中でも、特に重要なのが高血圧です。

血圧が高い状態が続くと、脳の血管に負担がかかり、血管が詰まったり破れたりする危険性が高くなります。

国立循環器病研究センターによると、降圧治療によって脳卒中の発症率が約30〜40%減少することが報告されています。

つまり、血圧を適切に管理することは、脳卒中予防のための非常に有効な方法なのです。

健康診断で血圧が高いと指摘された場合には、そのまま放置せず、家庭でも血圧を測定し、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。

また、減塩、適度な運動、体重管理、禁煙、過度の飲酒を避けることなども、脳卒中予防につながります。

脳卒中を疑う症状を知っておきましょう

脳卒中は、突然症状が現れることが特徴です。

特に注意したいのが、次のような症状です。

  • 急に片方の手足に力が入らなくなる

  • 顔の片側が下がる、口元がゆがむ

  • ろれつが回らない、言葉が出てこない

  • 急に片目が見えにくくなる、物が二重に見える

  • 突然、激しい頭痛が起こる

  • 急に歩けなくなる、強いふらつきが生じる

このような症状が現れた場合には、脳卒中の可能性を考える必要があります。

特に、顔の麻痺(Face)、腕の麻痺(Arm)、言葉の異常(Speech)に注意し、疑わしい場合には一刻も早く救急対応することを「FAST」と呼びます。

脳卒中が疑われる場合には、症状が軽くても、すぐに119番へ連絡してください。

また、症状が数分で治まった場合でも、一過性脳虚血発作(TIA)という脳梗塞の前触れである可能性があります。症状が消えたからといって安心せず、速やかな救急受診が必要です。

企業にとっても大切な脳卒中予防

働き盛りの社員が脳卒中を発症すると、本人や家族だけでなく、企業にも大きな影響が生じることがあります。

長期間の休職が必要になったり、後遺症によって業務内容の変更や職場復帰の支援が必要になったりする場合もあります。

そのため、企業としても脳卒中の予防に取り組むことが重要です。

特に、毎年の健康診断を受けるだけでなく、その結果を適切な受診や治療につなげることが大切です。

高血圧や糖尿病などを指摘された社員に対して、必要な受診を促すことや、生活習慣の改善を支援することは、将来の脳卒中リスクを減らすことにつながります。

産業医は、健康診断の結果や勤務状況などを踏まえ、社員一人ひとりの健康リスクを評価しながら、必要な受診勧奨や保健指導、職場環境の改善について助言します。

また、脳卒中を発症した社員が職場復帰する際には、主治医と連携しながら、本人の健康状態に応じた無理のない働き方を検討することも重要な役割です。

まとめ

脳卒中は、高齢者だけでなく、40代・50代の働き盛りの世代でも起こり得る病気です。

そして、その予防には、日々の生活習慣の見直しと、高血圧をはじめとする危険因子の適切な管理が重要です。

健康診断で異常を指摘されても、症状がないからと放置するのではなく、早い段階から健康管理に取り組むことが、将来の脳卒中予防につながります。

社員の健康を守ることは、企業の持続的な成長を支えることでもあります。

働き盛りの今だからこそ、自分自身の健康、そして職場全体の健康について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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